私は、新卒で製造メーカーに入り、24歳で中国蘇州の工場に2年間駐在経験をしました。
2002年の蘇州は、工場ラッシュで多くの製造業の海外駐在員や長期出張者がいました。
中国が世界の工場として注目されていた時期だと思います。
この頃から製造業は、日本で生産するよりも、安価な生産コストや現地での販売強化のため、海外に生産をシフトし始めました。
製造業の海外の売上高比率は年々上がってます。
多い会社では、90%も超えています。
日本マーケットよりも圧倒的に海外なのです。
製造業にとって、海外がビジネスの中心になりつつある中、必然的に、海外駐在員のチャンスも多くなります。現に私がそうだったように、若手の時代から送り込まれることもあります。
ここでは、製造業の海外駐在員ってどうなの? どんな仕事をしているの? リアルな年収はどのぐらい?
この辺りを紹介していきたいと思います。
製造業の海外駐在事情
製造業の駐在は、海外のオフィスに駐在するパターンと工場に駐在する2つのパターンがあります。
- 販売会社や管理会社などのオフィスへ駐在
- 工場に駐在して生産活動を支援
販売会社や管理会社などのオフィスへ駐在
営業や財務・総務・購買・法務・ITなどの管理業務を担当する人は、販売会社や管理会社などのオフィスへ駐在する形が多いと思います。
オフィスの場所は、工場の近くか、移動のしやすい市内の中心街を選ぶことがあります。
オフィス勤務のメリットは、市内の中心街で働く形になるので、仕事のモチベーションも上がりますし、食事に困らないですね。
逆にデメリットは、便利な反面、出費が増えることかと思います。
市内は美味しい店も多く、ついつい飲みに行ってお金を使っちゃう事かと思います。
工場に駐在して生産活動を支援
工場勤務の場合、主に生産に関係のある部署の駐在員が多いです。
生産部門に加えて、生産計画、生産技術、設備系、品質保証部、製品の開発部門などです。
工場なので、一般的には市内から離れた場所に勤務することになります。
このため、通勤は社用車もしくは乗合バスであることが多いです。
工場勤務のメリットは、移動が楽なことですね。毎日社用車が迎えに来るので、車通勤できます。
逆にデメリットは行動範囲がパターン化されてマンネリ化することかと思います。
食事に行こうにも、近くにレストランがないことが多く、社員食堂で食事をすることになるかと思います。
ただ、工場は、駐在員にとって成長できる機会が非常に多いです。
工場スタッフが部下になりますが、部下が100名、200名の大組織を率いる経験を積むことができます。
マネージメント経験を積みたい人にとって、スタッフ人数の多い工場は魅力だと思います。
海外売上高比率の高い製造業
では、どのような会社が海外駐在のチャンスがあるのでしょうか?
海外売上高比率の高い製造業は、海外に工場や販売拠点が多くあり、海外駐在のチャンスが多いです。
ここでは、海外売上高比率の高い製造業を紹介していきます。
上から順に海外売上高比率の高い順です。海外売上高比率は%で表示しています。
1位:村田製作所(92%)
2位:TDK(91%)
3位:ヤマハ発動機(90%)
4位:ホンダ(88%)
5位:ニコン(86%)
6位:日本電産(86%)
7位:DMG森精機(85%)
8位:日産自動車(85%)
9位:コマツ(84%)
10位:シスメックス(84%)
11位:三菱自動車(84%)
12位:ブラザー工業(83%)
13位:マツダ(82%)
14位:日本電気硝子(82%)
15位:コニカミノルタ(81%)
16位:ファナック(81%)
17位:ブリヂストン(81%)
18位:SUBARU(80%)
19位:オリンパス(80%)
20位:日立建機(80%)
21位:YKK(80%) ※ファスニング事業のみ
海外売上高比率80%以上をリストアップしてみました。
この辺りの会社は海外駐在の可能性が高い会社です。
製造業の駐在先での役割と仕事内容
製造業の1社あたりの海外駐在員の数は、非常に多いので、駐在員はベテラン社員だけでなく、若手、中堅、ベテラン全てに可能性があるんですよね。
現地の会社における役割は、主に以下のように分かれます。
●若手(平社員):プレイヤーとしての赴任が多い
(例:営業担当、技術担当)
●中堅(主任や係長):マネジャーとしての赴任が多い
(例:営業マネージャ、技術課長)
●ベテラン(課長や部長):部長や経営層としての赴任が多い
(例:営業部長、社長、副社長)
基本的には、日本での役職に応じて、現地でのポジションも変わってきます。
気づいたかもしれませんが、日本で就いている役職の1段階、2段階上のポジションで赴任することが多いです。
若手の場合はそのまま担当として働くことが多いのですが、中堅になると、赴任国で課長ポジションを任せられます。
ベテラン社員は、部長や副社長、社長ポジションで仕事をすることになります。
私の場合、最初の赴任は24歳と若く、プレイヤーポジションでした。
経験を積むという観点ではプレイヤーポジションでも良いのですが、駐在員を長く続ける場合は、社長や副社長のポジションを経験している方が良いです。
もし、日本に帰任した場合も再び他の国に赴任するチャンスもありますし、社長、副社長経験者は転職市場では価値があります。
ベテラン社員は、社長、副社長ポジションを狙って駐在できるのなら、その経験を後に活せる機会が来ると思います。
製造業における海外駐在員の職種
製造業で駐在員が多い職種は、営業、生産関連部門、開発部門、管理部門の4つです。
現地で製造するということは、現地での販売を考えなければなりません。このため、営業部門の責任者は、日本での製品販売ノウハウを持つ日本人駐在員であることが多いです。
製品販売の陣頭指揮を執るにも、製品に詳しくないと難しいですよね。
また、日系企業向けの営業を強化しているのなら、営業マネージャーや営業担当にも日本人を置く場合もあります。
続いて、生産部門についてです。
海外の工場は、元々日本のマザー工場の生産をシフトする形になるため、マザー工場の生産ノウハウを持つ駐在員は必須となります。
私の知っている工場には、全社員4,000名で駐在員が200名います。
このうちの120名が生産関連です。
生産は、日々の生産に加え、品質不良対策、現場のカイゼンもやっていかなければならないため、日本で修羅場をくぐった社員は本当に価値があります。
製造業でもっとも駐在員が多いのは生産部門かと思います。
必ず駐在員がいるはずです。
続いて開発部門です。
生産の現地化が始まると、現地顧客の製品の特性に合わせたカスタマイズ設計が必要になる場合があります。こうなれば、開発設計部門が必要となります。
多くの製造業にとって、開発の最先端は日本のマザー工場のため、マザー工場の経験者を駐在員として要求する工場が増えています。
開発部門の現地化も始まっており、今後もどんどん増えていく部門かと思います。
最後に管理部門です。
財務、購買、総務人事、法務などは日本とのやり取りも多く、日本人駐在員を置く会社が多いです。
特に、財務は不正につながる可能性が多く、財務部長は日本人でなければ務まらないと考えている会社もおります。
駐在員を多く置けない場合、管理本部を作り、管理本部長を日本人にして、その他は現地スタッフという組織を作る場合もあります。
その場合は、財務の専門家でも、総務人事含めて業務を回していかなければなりません。
管理部門の駐在員は会社ごとに1名~3名ほどと人数が多くないのですが、どの会社にも必要な部門になるため、転職しやすいのもポイントになります。
製造業における海外駐在員のリアルな年収
皆さん、ここが一番聞きたいのではないでしょうか?
それでは、海外駐在員になりどのぐらい収入をもらえるのか?お伝えしていきます。
製造業は、昔から歴史のある企業が中心で、全体的な待遇は良いです!
私の場合、24歳と若かったのですが・・・
当時の年収500万弱に対し、海外赴任では1,000万円近くを手取りでもらっていました。
手取り1,000万円なので、額面では1500万円相当です。
なんと!給与は3倍です。
当時は、海外赴任が少なかったため、手当てが手厚かったです。
海外赴任の基本手当てだけで、毎月30万円が付き、ハードシップ手当(危険国手当)がまた毎月20万円という感じで、手当てが自分の給与を超えてました。
また、住居は会社負担だったので、タダで借りてました。
私の駐在先、蘇州は物価が異常に安かったこともあり、毎年500万以上は貯金ができていました。
毎日飲み歩いてたので、お金はかなり使った上で500万の貯金です。相当貯まったと思います。
ただ、帰任後も何度かプライベートで蘇州に遊びに来て、一瞬で無くなってしまったんですけどね(笑)
今は海外駐在も多く、ここまでの手当てが出る会社は減ってきましたが、年収ベースで1.5倍ぐらいはもらえます。
海外駐在すれば、家が建つという都市伝説がありましたが、これは本当の話なんですよね、
製造業の駐在員を目指すには?
それでは、製造業の駐在員を目指すにはどのようにすればよいのでしょうか?
海外駐在3度の私のアドバイスですが、以下のことが必要となります。
- 海外売上高比率が高く、海外に拠点の多い製造業に転職すること
- 業務経験を積むこと
- 語学を話せるようになること
まず、製造業で働くことが第一となります!
製造業でも、海外売上高比率が高く、海外拠点の多い会社に転職するのが良いです。
それでは、海外売上高比率が高く、海外拠点の多い会社をどうやって探せばよいでしょうか? 日本には、3,600社の上場企業がありますが、ここから1つ1つ調べていくのは非常に大変です。
探すだけで1年以上かかると思います。
なので、時間に追われるあなたに紹介するおススメの方法は、転職エージェントに登録して、勝手に探してもらうことです! これ、とても重要です。
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まとめ
製造業の海外駐在についてご紹介しました。
製造業は、日本の強みでもありますし、若手にも中堅にもベテラン社員にも海外駐在のチャンスが多い業種です。
営業、生産部門、開発部門、管理部門などは海外駐在のチャンスも多く、また転職する事で新たなチャンスを得る事もできます。
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